B級コラム編集部

身近な関心ごとから社会問題まで。興味のあることにツラツラとひねくれた意見を書いています。

煽情的な見出し


「指原ビートたけしにブチ切れ」
明石家さんま芸能界を引退」


最近、ニュースサイトやまとめサイト、動画検索サイトで、およそ内容とは乖離した過激なタイトルがついた物が目立つ気がします。


僕、それが気に食わなくって気に食わなくって(笑)


注目されたいのは分かるのですが、もう少しなんとかならないのかなって思ってしまいます。

ただ、そういう無駄に過激なタイトルをつけてしまう傾向って、実は投稿する側のモラルが低下しているとかではなく、ネットの仕組み上ある程度仕方ない事なのかもしれないと思ってしまうのもまた事実。

ネットの情報のタイトルについて、思うところが色々あるわけです。


まず一つ目は、ニュース記事の見出しについて。

ニュースサイトで一番最初に頭に浮かぶ物って、多くの人にとってYahoo!ニュースじゃないかと思います。

Yahooニュースは基本的に自前の記者は抱えていません。
つまり、Yahooニュースのサイトにはいろんな新聞社・通信社から集めた情報が並ぶ事になる。
Yahooニュースに並ぶ記事は、Yahooニュースを運営する人々によって決められています。

通信社や新聞社(特に極小の通信社)にとって、Yahooニュースに載ることは、ページビュー数を上げるうえで、大きなメリットとなります。
なんでも、一度Yahooニュースに掲載されると、数十万のページビュー数を獲得できるのだそう。



そうなると、通信社や新聞社はユーザーにとってどれだけ有益な情報を提供するのかということ以上に、Yahooニュースに掲載される事に意識を置いた記事作りに走ります。


Yahooニュースに掲載されるために重要になってくるのは、「どれだけユーザーにクリックしてもらえるのか」という事。
ネットの性質上、記事の内容はクリックされなければ一切関係がありません。
そして、ネットのニュースにとって、クリックされてホームページに飛んできてもらう事こそが大切になってきます。
(主な収入源がネット広告だから。)
ユーザーの目を惹くタイトルとは、挑発的な物であったり、ニュースの速報のようなもの。
質よりもスピード、タイトルの注目度ばかりが重視されるのです。
だから「大物芸能人に××ブチ切れ」とか、「真相告白!テレビで言えない××の真実」みたいな見出しが増えてしまうのです。


これって、ニュース記事以外のまとめサイトや、動画投稿サイトにも当てはまります。
基本的にブログやまとめ、動画などを投稿する人は、ページビューをモチベーションに投稿行動をしています。
だからニュース記事と同様に、クリックしてもらう事が重要になってくる。
するとニュース記事同様に、速報的なもの、挑発的なタイトルをつける傾向が出てくる。
また、個人が投稿している場合、どうしても通信社などの情報収集スピードにはかないません。
だから必然的に、タイトルばかりが重視されるようになってしまうのです。


こんな風にタイトルばかりが目立つ傾向はますます顕著になってきています。
別にそれ自体は、まあ僕らが意識していればいい事なんで、正直あまり困りません。
ただ、個人的に思うのは、個人が投稿する動画や画像に関して過激なタイトルを付けるのは、長期的にみてユーザー獲得にマイナスに働くのではないかって事です。

たとえばブログやニコ生の場合、長期的にみた時、一回限りのクリックをしてくれるユーザーではなく、お気に入りに登録してくれたり、繰り返しサイトに足を運んでくれるような固定ユーザーをいかに集めるかが大切になってきます。
挑発的なタイトルは、短期的なアクセスを稼ぐには効果的ですが、固定ユーザーは生み出しにくい。
だって言うなればタイトルに釣られてきた人たちなわけですから。

さらに、個人投稿がストックの情報であるって事を考えてみても、タイトルを過激にするのはあまりいい戦略とは思えません。
ニュース記事なんかはその時々のものなので、多少盛ったタイトルでもいいと思いますが、ブログや動画だと、足を運んだユーザーが他のコンテンツもみていくわけですから、その時に挑発的なタイトルばかりだと、「ここのページは名前だけ」って印象を与えてしまいます。
こうした部分からも、個人の投稿したコンテンツにやたらと煽情的なタイトルを付けるのはいかがなもんかと思うのです。
ネットがここまで普及した昨今、個人投稿が急激に増えて、差別化がますます難しくなっています。
たしかに、そうした中で注目を集めるタイトルを付ける事は、効果的な戦略の一つかもしれません。
しかし、長期的にみたとき、必ずしもその戦略がプラスに出るとは限らないという事を考えたほうがいい気がします。
YouTubeの投稿コンテンツを見ていて、ふとそんな風に思いました。