B級コラム編集部

身近な関心ごとから社会問題まで。興味のあることにツラツラとひねくれた意見を書いています。

ワタミさんの思考回路

最近気になるワタミの社長、渡辺美樹さんの言葉の数々。
「24時間365日、死ぬまで働け」と、給与明細の下の書かれていたり「努力する物がリストラされるはずがない。休みの日に勉強に励め。そうすればリストラはされない。」と理念集に書かれたりということを取り上げて、ブラック企業だという声を、ネット上でよく目にします。
これらの言葉に対しては、非常に手厳しい意見が多かった様に感じました。
でも、ワタミの社長さんが言いたい事の本質もわかる気がします。
多分、理念集や明細表に書かれた言葉がこれだけ批判の矛先になってしまうのは、働くことに対する成功する人とそうでない人の、考え方の違いを渡辺さんが考えていないからなのではないでしょうか。
僕は人々の働くことに対する考え方には「自己実現、社会貢献の実現の為に働く」という考え方と、「生活の糧、あくまでお金をもらう手段」という考え方の2種類があると考えています。
どちらも正しい考え方だと思います。
で、強いて言うなら前者の考え方をする人は圧倒的少数(経営者とかある会社のトップセールスマンとか)で、残りの人は後者の考え方をしています。
渡辺さんは、典型的な前者の人。
「自己実現、社会貢献の実現の為に働く」という考え方の人は、自分の成長、さらなる高みに登る事こそが仕事の大事な部分。
だからその為の自己研鑽は欠かせないと考えます。
そういう人にとっては、ワタミの理念集に書かれている事は、極めて当たり前で、むしろいい事が書かれていると考えると思うんです。
でも、そんな素晴らしい理念集も「生活の糧、金を得る手段」として考えて働いている人がみると、全然違う物に映ります。
彼らはあくまで家族を養う手段であったり、生活する為に仕方なく労働していると考えます。
言い換えれ自分の時間を売って、生活費を稼いでいると考えているのです。
そういう人にとっては、仕事なんて苦痛以外の何物でもないので、休みの日まで仕事の為に使えなんていう文章をみたら、「ふざけんな!」ってなるわけです。
渡辺さんのちょっとまずかった点は、こう言う考え方の人が多いという事を意識せずに、全員に前者の理論を押し付けてしまった点にあります。
いやっ、正確に言ったら後者の考え方を持つ人を前者の考え方の人に変えてあげようという気持ちで発言していたのかもしれません。
本来なら、成功したいって強く思う人には強く響く言葉でも、そうでない人に対しては空回りになる。
「一人でなに熱くなってんのアイツ」みたいな空気ができてしまったんだと思います。
もちろん経営者としては「自己実現や社会貢献」の為に働く輝く人間に、一人でも多く働いてもらいたいと思うのはもっともだと思います。
でも今いる(働いている)人材の中でそんなスーパーマンはごく一部。
そもそもベクトルが違うんです。
渡辺さんは、そういう考え方の違いを考慮せず、全員前者の思考を持っている、あるいは前者の思考になり得ると考えてしまったから、理念集が批判されているのだと思います。
社員をより高みに導いてあげたい。
僕はあの理念集に、渡辺社員の社員に対する優しさを感じました。
でも、必ずしも前者の思考を身につける事が幸せと全員が考えているかというとそうではない。
そんな差異が理念集を批判の対象にしてしまっている様に感じました。