B級コラム編集部

身近な関心ごとから社会問題まで。興味のあることにツラツラとひねくれた意見を書いています。

「人の住めない福島」って発言自体は問題だけど

http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/radioactive_waste/?id=6093650
「人の住めなくなった福島に」桜田副大臣発言撤回

桜田副大臣の発言に、非難が集まっているみたいです。
まあ確かに不謹慎ではありますが、個人的には批判する人が何に対して非難しているのかが気になります。
これって、「人の住めなくなった福島」という言葉に対して非難しているのか、「今後人が住めない地域が存在する」という意見に対しての非難なのかで、全然意味が違ってくる事だと思うんです。


前者の「人の住めなくなった福島」という言葉に対する非難であるならば、論点は「福島の中でも普通に生活できる地域が多くあるのに、そういった地域もまとめて『人が住めない』と言った事はけしからん」ってところになってくると思います。
(まあ桜田副大臣の言葉みたら「人の住めなくなった福島」なんて言ってないですが。。。正確には「人の住めなくなった福島の東京電力の施設」って言ってます。これ、メインになる名詞は「福島」じゃなくて「東京電力の施設」なんです。だからタイトルとして切り取られて、桜田副大臣の本意とは若干異なっている様にも思えます。でもひとまずそれは置いといて、、、)
確かに、この非難はその通りだと思います。
福島県全域を一括りにして「人が住めない」じゃあ、あまりにも住んでいる人たちに配慮がなさすぎです。
僕は震災以後何回か福島に行っているのですが、普通に楽しい街ですよ。
ご飯も美味しいですし(笑)
無意味な偏見を生まない様にするという意味では、「人の住めない福島」発言はちょっとマズいのかなって思います。



一方で、「人の住めない地域に廃棄物を置く」という主張を批判する人たちには僕は反対です。
「被災して避難を余儀無くされている人の気持ちを考えろ」とか「東電の不始末を県民にさせる気か」とか言われるかもしれませんが、永久に住めない地域が出てくる事は紛れもない事実だと思うのです。
確かに福島第一原発の20km圏外とかなら、今後住む事ができるかもしれません。
しかし20km以内は、事実上もう人が住めないと思うのです。
それはチェルノブイリを見れば明らかなこと。
じゃあ、住めないって分かっているのに「将来戻れる様に最善を尽くしています」って言って県民に期待を持たせたりすることは、かえって不誠実な気がします。
本当はみんなある一定地域に人が住めないって事くらいわかってるんです。
でもどこかそれを口してはいけないような空気になっている。
確かにその土地で暮らしていた人の気持ちを考えれば「一生戻れない」って言うのがどれほど酷な事かは分かります。
しかし、感情とは別に事実は事実なんですよね。
だったらそこは厳しくとも受け入れるしかないような気がします。
今必要な事は「どこまでは救って、どこからは(本当に申し訳ないけれど)切り捨てるか」っていう判断を思い切ってする事だと思います。
できもしない夢を国が語り、叶いもしない絵空事とわかっているのにそれを人々が指摘できないような現状では、きっと何も変わらない。
そういった意味で、「人の住めない地域に廃棄物を置く」という部分に対し非難をする事には、僕はちょっと反対です。


「放射能汚染の酷い地域に廃棄物を置く」っていう意見に反対する人は電力の恩恵を受けたのに泥かぶりだけその土地の人にさせるのかとかお前の住んでいるところに廃棄物をおいていいのかって言うけれど、それは根本的に違う気がします。
だって放射能汚染が酷い地域には「どうせ人が住めない」んだもん。(あえて言いました)
それでもそこに放射性廃棄物を置くべきじゃないっていうのは、全くもって非合理的です。
今後住めるようになるっていう希望を持っているから、「たとえ放射能汚染が酷い地域といっても、そこに放射性廃棄物を置くべきでない」ってなるのだと思います。
僕には、「もう一度住む」っていう(誰もが無理だと本心では分かっている)希望が、足を引っ張っているように見えてならないです。


今回の桜田副大臣に対する非難の声の大きさを見て、そう思いました。
よく、被災者の気持ちを考えろっていう意見を聞きます。
僕は被災者の気持ちを考えて、あえて誰かがヒール役になってでも、住めないなら住めないと現実を伝えるべきだと思います。